1/改正医療保険の正しい知識
健保改正により今までの数倍に値上げされ切実な問題となりました。

:財政構造改革法に基づく医療保障の切り捨て
社会保障分野の予算は、人口の高齢化の進行や賃金、物価の上昇に伴う必要経費増(当然増経費)が、予算で8600億円も見込まれています。これを3000億円以下に抑えようというのが、「財政構造改革法」にもとづく削減命令です。

:予算削減で医療、福祉の切り下げは2兆円
医療では4200億円が削減され社会保障全体では2兆円にも上ります。しかも、同規模の削減 が99年度も,2000年度予算でも行われます。
4200億円分、何をどれだけ削るかは、政府に白紙委任されています。予想される削減策は、1.薬価基準の大幅切り下げ、2.ビタミン剤、漢方、バップ剤や風邪薬などの保険外し、3.入院給食費の引き上げ、4.高額療養費限度額 (現在63.600円)の引き上げなどです。

Q.このまま少子高齢社会が進むと勤労者二人で高齢者一人を支えることになり、給料の7割が税金と保険料に消えてしまうと言われていますが?

A.実際に保険料を支払う就業者人口と高齢者と子供の合計で計算した場合は、高齢者が増えて も今と将来とは支える割合に変化はなく、高齢者が増えれば、当然社会保障負担も増えますが、 同時に経済の規模も大きくなっているので国内総生産対費比に大きな変化は有りません。
給料の7割も消えるというのは、国民負担率のことを指していますが,この数字の中には、企業が支払う金額が含まれていますので7割全てが給料から差し引かれることにはなりません。

◇難病患者に自己負担
難病医療費の全額公費負担制度は、特定疾患者治療研究事業として、38の難病を対象に25年間続けられてきた制度です。この制度から公費負担を三分の一カットし、患者に肩代わりさせよというものです。

財政赤字の原因は、国の税金の使い方の問題

:「六大改革」は介護保険制度の導入と連動して,医療補償制度を解体することにある
政府は税制危機を理由に社会保障費を削ろうとしていますが医療費や社会保証の費用が財政危機を招いた訳ではありません。
公共事業には年間50兆円もの税金をつぎ込みながら、社会保障にはたった20兆円しか出していません。欧米では公共事業を10とすると社会保障には50から60という比率でお金を使うことが当たり前になっています。
財政再建とはムダを削ることですが、不要不急の公共事業をはじめとする莫大な浪費を削ることこそが必要ではないでしょうか。

Q.老人医療費を中心に医療財政の赤字が深刻になっているので、患者負担を増やすのはやむを得ないのですか?

A.毎年、1兆円規模で医療費がのびていることは事実ですが,政府はその理由を老人医療費の伸びにあると言っていますが,高齢化社会が進めば当然のことです。問題は、医療費の伸び以上に、無駄使いがあることで,その中心は、薬と医療機器の価格が異常に高いことであり,この薬価や医療機器を国際価格並に引き下げただけで3~4兆円も保険支出を削減できるのです。

医療も金しだいの制度が本格化
現在個室などの入院ベットと給食の一部のみ認められている差額料金が部屋代や診察料、薬代にまで拡大します。医療保険の一部負担だけでは治療が受けられない、差額を払わないとまともな医療をうけられなくなり,保険で全ての医療をカバーするというこれまでの在り方から、保険の他に自分のお金がなければ生命が危うい状態になります。

:お金がないとかかれない差額自由化
診察料の差額とは,消化器や循環器などといった専門の医師にかかるときに保険とは別にお金を払わなければならないことです。
また,大病院の外来が「原則として紹介」制にされます。大病院にかかる為には「紹介状」が必要になり,なければ初診料などの差額を払わなければなりません。将来的には、大病院にかかったときの医療保険での負担を5割にする計画もあります。
大抵の専門医は大病院にいます。専門的な治療を受けるためには、まず地域の中小病院で紹介状をもらい、大病院では施設料差額(入場料とでもいうべきもの)を支払い、専門の医師にかかるとその上に特別料金をとられるということになります。

:閉鎖に追い込まれる中小病院
厚生省は昔から、現在170万床近い病院ベットを100万床ぐらい,できたら半分にしたいと思ってきました。
病院を急性期の医療に取り組む病院と、慢性期の(療養型病床群)に二つに区分するとしています。分けられた慢性期の療養型葉、介護施設と同様に介護保険でその費用をまかなう施設になります。医療保険で費用を出す一般の病院は、急性期のみの入院を扱うところとされ、その数も極端に少なくなります。
すでにこの間,病院のベット数は減り続け、救患受け入れ病院が少なくなったなどの問題もおきています。

必要な医療が受けられない定額制の診療報酬
長寿はまた医療のかかりやすさでもあり国民皆保険制度で,国民すべてに平等に医療が保証されてきたことが大きく1.日本全国どこでも保険証一枚で安心して病院,診療所にかかれる2.積極的な治療で病気の早期発見を促してきた診療報酬の「出来高払い制度」です。

:「出来高払い」から「定額払い」への転換で支払いを抑制
医療機関は、診療報酬の出来高払い方式のもとで、積極的に検査や治療を行うことで早期発見、合併症の予防をすすめてきました。そのことが諸外国と比べても安い医療費の原因です。ところが、政府はこれを極端に縮小し、「定額払いを積極的に活用する」としています。
どんな、病気で入院しても、一定期間がすぎたら「1日いくら」という定額にするとしています。こうなると、定額になった時点で退院をせまられることになるでしょう。入院期間が今よりもはるかに短くなります。この方式では、必要な治療を止めたり、治療費のかかりそうな患者を断ったり、といった事態も予想されます。

◇アメリカ医療の実態
厚生省が、拡大しようとしている定額制の医療は、アメリカを手本にしています。DRG.PPS(診断群別定額支払い制)と呼ばれる、病名別に医療機関に支払われる金額が決められる方式です。その為、医療機関は入院日数標準よりも早く退院させようという動機が働くことになります。この炒め、盲腸炎の手術を受けてその日に退院、なんてこともザラに有るのです。

保険がきかない差額徴収
現在の薬価基準制度(国が薬価を定める制度)を廃止して,市場取引に委ねる原則に立った新たな方式二するとしています。国会の審議でも欧米諸国に比べ異常に高い薬代が問題になりました。ここにメスを入れれば2兆円から3兆円の財源が生まれることも明らかにされています。

:薬価が製薬会社の市場原理で決められる
提案されている制度では、例えば、胃薬にメーカーがつけた値段が、200円、300円、400円の3種類あったとします。保険で支払われる金額が300円と決められると、400円の薬 を使う場合は、100円が全額患者負担ということになります。
メーカーがよく効くと自信を持った薬は高くなり、効く薬ほど高く、自己負担が多く取られるということになります。
そもそも薬剤の最終消費者である患者は、自分だけではどの薬がよいか選択する事は出来ません。「市場取引に委ねる原則とは」,医師が患者の懐具合と相談しながら薬を選ぶことであり、貧富の差によって飲む薬が違うということになります。

:薬剤の保険外し
政府は薬価制度の廃止によりかぜ薬、漢方,バップ剤(貼り薬),ビタミン剤などを保険給付よりはずし保険が利かないようにしています。これだけでも大変な負担増です。しかも,規制緩和と称してこれらの薬をコンビニエンス.ストアーでも売れるようにしています。
患者負担が増えて、保険薬の10倍といわれるような高い売薬で薬が売られる状態になれば、国民は重傷化してからでなければ医療機関にいかないことになり得ません。

....保険薬価薬店販売倍率
ガスター10mg(山之内)50.6円148.0円2.9
アリナミン25mg(武田)8.113.21.6
ハイシー顆粒1g(武田)6.426.74.2
キャベジンU(コーワ)6.412.01.9
大黄甘草湯2.5g(ツムラ)16.044.52.8
イドメシンコーワゲル25g(コーワ)322.51350.04.2

◇製薬、医療業界からの献金
96年の政治資金収支報告書によれば,橋本首相の献金収入は2億6280万円。このうち医療機関の企業、政治団体、個人による献金は総額で8100万円に達し,献金総額の31%を占めています。

<参考資料.全日本民医連/1997.12.2>